「電気通信主任技術者」という資格の名前は知っていても、それを取得した先に、具体的にどのような道が拓けているのか、はっきりと思い描けている方は意外と少ないかもしれません。「難易度が高いと聞くけれど、苦労して取った先には、本当にそれに見合うだけの価値があるのだろうか」そんな風に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その疑問は、ご自身のキャリアを真剣に考えているからこそ生まれる、とても大切な問いだと思います。
私たちの暮らしは今、スマートフォンでの連絡やインターネットでの情報収集、動画の視聴といった、たくさんの通信サービスによって支えられています。これらのサービスが、いつでも当たり前のように使えること。その「当たり前」を、技術の面から根底で支えているのが、ほかならぬ電気通信主任技術者なのです。
この資格が持つ意味は、単に「通信に詳しい」という証明に留まりません。法律によって定められた重要な役割と、社会に欠かせない専門性。これから、その価値について一つひとつ、一緒に見ていきましょう。
法律で定められた「独占業務」とは?
電気通信主任技術者の価値を語る上で、絶対に欠かせないのが、法律で定められた「独占業務」を行えるという点です。これは、この資格を持つ人にしか許されていない、特別な仕事があることを意味します。
その法律とは「電気通信事業法」のことです。この法律では、NTTやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者などが、自分たちの通信サービスを提供するために使う「事業用電気通信設備」について、その工事、維持、そして運用を監督する責任者として、必ず電気通信主任技術者を置かなければならない、と定められています。
社会インフラの安全を守る「監督」という仕事
では、「監督」とは具体的に何をするのでしょうか。それは、通信設備の工事が、国が定めた技術基準にきちんと適合しているかを確認したり、稼働している設備が安定して動き続けるように、維持・管理の計画を立てて実行したりする、非常に責任の重い役割です。
例えば、新しい光ファイバーケーブルを敷設する工事があれば、その計画が技術的に問題ないか、安全に進められているかをチェックします。また、大規模な通信障害が起きないように、日頃から設備の点検や更新を指揮するのも、主任技術者の大切な仕事です。
このように、社会の重要な基盤である通信インフラの品質と安全性を、専門的な知識をもって確保すること。これこそが、電気通信主任技術者だけに与えられた、誇りある「できること」なのです。
具体的な仕事内容と活躍できるフィールド
法律で定められた監督業務という大きな役割に加えて、電気通信主任技術者が持つ専門知識は、社会のさまざまな場所で求められています。資格を取得することで、あなたの活躍の場は大きく広がっていくでしょう。具体的にどのような仕事があるのか、いくつかのフィールドに分けて見ていきましょう。
通信サービスの根幹を担う「通信キャリア」
NTTグループやKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルといった、いわゆる通信キャリア(通信事業者)は、資格者が活躍する代表的な職場です。ここでは、自社が提供する全国規模の通信ネットワークの設計、構築、そして運用・保守の最前線で働くことになります。新しい通信サービスを企画したり、増え続けるデータ量に対応するために設備を増強したりと、まさに日本の通信インフラそのものを動かしていく、ダイナミックな仕事に携わることができます。
通信インフラを形にする「インフラ建設会社」
通信キャリアが立てた計画をもとに、光ファイバー網や携帯電話の基地局といった物理的な設備を、実際に作り上げていくのがインフラ建設会社の役割です。私たち株式会社建巧社も、この分野で社会を支えています。
例えば、私たちの仕事には、オフィスビルやデータセンターの中に、たくさんの通信機器を設置して設定を行う業務や、街中に携帯電話の電波を届けるためのアンテナ(基地局)を建設する工事などがあります。こうした現場では、電気通信主任技術者がプロジェクトのリーダーとして、工事の計画から安全管理、品質のチェックまで、全ての工程に責任を持って関わります。まさに、知識を実践的な「かたち」に変えていく、ものづくりの喜びを感じられる仕事です。
気になる年収とキャリアパス。将来性は?
資格取得を目指す上で、その先の収入やキャリア、そして将来性がどうなのかは、誰もが気になるところだと思います。電気通信主任技術者は、その専門性の高さから、安定した収入と将来にわたる活躍が期待できる資格です。
資格は年収アップに繋がる?
一般的に、電気通信主任技術者の資格を持つ技術者の年収は、日本の平均年収と比較して高い水準にあると言われています。もちろん、勤務する企業の規模や地域、個人の経験年数によって幅はありますが、多くの企業では、資格手当が毎月の給与に上乗せされることがほとんどです。この手当の額は企業によって様々ですが、月々数万円程度が相場となることが多いようです。
また、資格を持っていることは、昇進や昇格の際にも有利に働くことがあります。より責任のある立場になることで、年収も着実に上がっていくでしょう。
描けるキャリアステップとは
キャリアの歩み方も多様です。最初は現場の技術者として経験を積み、その後、複数の工事やチームをまとめるプロジェクトマネージャーや、部署全体を管理する管理職へとステップアップしていくのが、一つの典型的なキャリアパスです。
また、特定の技術分野を深く追求し、誰もが認めるスペシャリスト(専門家)として活躍する道もあります。さらに、独立して自分の会社を立ち上げたり、コンサルタントとして企業の技術的な課題解決を支援したりと、活躍の可能性は無限に広がっています。
5G、IoT時代の将来性
私たちの社会は今、5G(第5世代移動通信システム)の普及や、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった技術革新の真っただ中にあります。これらの新しい技術はすべて、高速で信頼性の高い通信インフラがなければ成り立ちません。
つまり、社会が進化すればするほど、通信インフラを支える電気通信主任技術者の重要性は、ますます高まっていくのです。将来にわたって仕事がなくなる心配は極めて少なく、むしろ、新しい技術を学び続けることで、活躍の場はさらに広がっていくでしょう。
資格を活かして働くということ。企業が求める人物像とは
企業が電気通信主任技術者を求めているのは、法律で定められた監督者が必要だから、という理由だけではありません。もちろん、それは大きな理由の一つですが、企業は資格の向こう側にある、あなたの「人間性」や「仕事への姿勢」にも大きな期待を寄せています。
専門知識を持っていることは大前提ですが、それと同じくらい大切になるのが、責任感の強さです。通信インフラは、人々の生活や経済活動を支える重要な基盤です。その一端を担う者として、「社会を支えている」という強い自覚と責任感を持って仕事に取り組めるかどうか。企業はそうした姿勢を非常に重視します。
また、多くの仕事は一人で完結するものではなく、社内外のさまざまな人たちと協力しながら進めていきます。そのため、チームの一員として周りの人と円滑に意思疎通を図れるコミュニケーション能力や、リーダーとしてチームを引っ張っていく力も求められます。
私たち株式会社建巧社では、資格取得をゴールとは考えていません。むしろ、それはスタートラインです。私たちが大切にしている「未来のあたりまえを創造する」という想いに共感し、資格で得た知識や技術を、社会のために、そしてお客様のためにどう活かしていくかを、主体的に考え、行動できる人。そんな方と、ぜひ一緒に未来を作っていきたいと考えています。
https://www.kenkohsha.jp/recruit
社会を支え、未来を創る。電気通信主任技術者というキャリアの選択
電気通信主任技術者になると「できること」。それは、法律で定められた独占業務を行えるといった、単なる仕事の範囲だけで語れるものではありません。
それは、現代社会に生きる私たちの、ごく当たり前のコミュニケーションを、目には見えない場所からしっかりと支えるという、大きな社会的役割を担うことです。そして、これから先の未来、今では想像もつかないような新しいコミュニケーションの形が生まれた時、その土台となるインフラを創り上げていくという、夢のある仕事に挑戦できるということです。
資格取得は、決して簡単な道のりではないかもしれません。しかし、その先には、日々の仕事の中に大きなやりがいと、社会に貢献しているという確かな誇りを感じられる、そんなキャリアが待っています。
株式会社建巧社のような、人々の暮らしを支え、未来を創造していく現場で、あなた自身の「できること」を試してみませんか。その専門知識は、社会をより良くするために、必ず役立つはずです。

